カリフォルニアはアメリカで最もアクセシビリティが高い州です。州法によって、ADA(障害を持つアメリカ人法)よりもさらに積極的に推進を行っています。
視覚障害者のための音声ガイドが様々な場所に設置されているサンフランシスコ市で体験してきました。
サンフランシスコの音声ガイドは、トーキングサインというシステムです。(ルイジアナ州トーキングサインズ社製)
利用者が持つレシーバーと建物などに取り付ける赤外線送信機からなる。
利用者はレシーバーを左右にスキャンするように振る。建物に設置された送信機からの赤外線を受信し、レシーバーから音声メッセージが流れる。
現地を見て感じた事は、この音声ガイドの設置計画が綿密な検討をし実施されたということである。
これは利用者のニーズを十分に把握した設計側の成果である。音声ガイドはただ単に地点名を音声で知らせるのでは十分に機能を発揮しない。
室名表示だけをつければ目的地に到着できるわけではないことは、ビジュアルなサイン計画と同様である。
音声案内はサイン計画とは別個に検討がなされるのが日本の現状であるが、両者とも案内・誘導計画であり筋道のたてかたや考え方は同質と実感した。
またこれまでビジュアルなサイン計画に携わっている者としては、地点を示すだけではなく、建物全体を把握するための全館案内サイン(音声や触図)や誘導音声ガイドとの連係の重要性を感じた。
わが国では音声案内の試みはまだ始動期である。視覚障害者が音や光によってどのように周辺状況を認知するかを十分に理解し、細やかな検討が必要である。