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「江東区やさしいまちの誘導システム」
 設計・整備のプロセス

江東区砂町一帯は、古くからの住民が多く住む一方、集合住宅が急速に建てられたため新しい住民も多い地域です。平成16・17年に江東区が行ったワークショップで、歩行者にとってわかりにくい、歩きにくいという不便を訴える声が挙げられました。

そこで、同区の「やさしいまちづくり推進計画」の一環として、安全・安心で誰でもが円滑に移動できる街の創造を目標として、ワークショップで抽出された課題や提案を、私たちは「やさしいまちの誘導システム」として具現化しました。

設計へのプロセスと内容

この地区は、平坦な地形に幹線道路が格子状に走り、そこに水路を整備した仙台堀川公園が中心部をかぎ型に貫いています。交通バリアフリー基本構想による整備が並行して行われており、歩行路の拡幅・段差解消、誘導ブロックの敷設などの物理的なバリアの解消は図られつつあります。

しかし、ワークショップの中から、格子状の幹線道路の交差点の景観が似ているため、歩行時に現在位置を把握しにくい、外来者や新住民・低視力の人たちには、交差点の間で細い道に入る《めじるし》がつかみにくい、地下鉄南砂町駅の出入り口が歩行者動線からわかりにくい、バス停の位置案内や路線、施設の位置がわかりにくい、などの問題が明らかになりました。

そこで、サインの設置が求められる場所の性格に応じて、設置位置・本体形状・色彩・照明方式・音による案内などを検討したうえで、低視力、色覚に配慮したグラフィックデザインによる、5種類のサインを設定しました。

A. 広域案内図および周辺案内図(照明あり・電子音)
地下鉄出入口付近に広域案内図と周辺案内図を設置して、駅を起点とした街の案内を行います。また、案内の骨格軸となる拠点に周辺案内図を設置します。
B. 交差点近辺案内(照明あり・電子音)
幹線道路の交差点に、現在位置が認識できるとともに、道路の骨格が理解できる案内図を設置します。
C. 分岐点誘導(風力音)
歩行者・自転車の主要な動線上の道路や公園などで、駅や主要施設等への案内を行います。
D. 小交差点誘導
地元の人が、外来者から駅の方向などをよく尋ねられる小規模交差点や辻などで、道路幅が狭い場所に設置し、街角の目印にしました。
E. 駅入口誘導(照明一部あり)
駅近辺の駅入口へのアクセス分岐点に設置しました。

これらのサインは、全盲や低視力の人たちの協力を得て試作を繰り返し、デザインを決定しました。表示面は地色を暗い色にした暗地方式としました。この暗地方式は、明地方式に比べて掲載できる文字量が著しく少なくなるため、表記内容にも吟味を重ねています。また、音や触覚による情報提供も行うことにしました。

下の画像をクリックすると、広域案内図の一例がごらんいただけます。

音による案内

全盲の人たちが街を歩くときには、白い杖で足許の状態を知るとともに、お店や自動販売機などが発する音も現在地を知る手がかりにしています。

上記のA.B.Cにはそれぞれ特徴のある音サインが組み込んであります。それらは、音を必要としない人々には気づくことのない音量と、近くで生活する人にはじゃまにならない音型でつくられています。

触知による案内

このシステムの開発途上では、触るサインをいくつも考えました。けれども全盲の人は、屋外の知らない場所ではやたらと物に手で触る行動は取らないよう、指導されていることがわかりました。その結果、タクシーや迎えを呼ぶなど、どうしても地名を知りたいときのため、交差点に設置するBに限って、点字で地点名が表示してあります。このことはワークショップに参加した、地域の視覚障害者のグループを通じて周知されています。

広域案内サイン

[ 広域案内図および周辺案内図]
画像をクリックして解説をお読みください

交差点近辺案内サイン

[交差点近辺案内]
画像をクリックして、解説をお読みください
音による案内もお聴きになれます

分岐点案内サイン

[分岐点案内]
画像をクリックして、解説をお読みください
音による案内もお聴きになれます

小交差点誘導サイン

[小交差点誘導]
画像をクリックして説明をお読みください

サインの書体と図記号

低視力の方でも読みやすい文字の選択